はじめに
投資の出口戦略について考察させていただきます。
投資の意味、リスクとリターン、分散投資などの基本的な考え方を身につけた上でお読みください。
年齢とライフプランを考える

結局、投資の出口戦略において一番大切なのは「年齢とライフプラン」だと私は考えます。
前提として、最悪の場合でも「損をしない」投資を目指すとします。
もし株価が暴落した場合、元の価格まで回復するのに10年間はかかると考えた方が良いでしょう。
そう考えると、今持っている株が今暴落すると、10年間は売却できないことになります。
そのため、株を売却するタイミングは、「今投資しているお金を10年後に使いたい時」と考えるのがベストだと私は考えます。ライフプランが未定なら、向こう10年間は使わないと予想される余裕資金だけ投資するのがいいと思います。
結婚相手や子供がいて、ライフプランがある程度予想がつく場合、投資に回す金額は慎重に考えた方がいいでしょう。
例えば「10年間運用して10年後の学費などの資金にしよう」と考えている方は、少しお待ちください。20年後の資金のために10年間運用するのはいいと思いますが、10年後のために10年間運用するのは無謀だと思います。リスクについてご存知ない方は、先にリスクについての説明をお読みください。
現在投資で運用中のお金は、10年後まで使えないかもしれない

投資しているお金は10年後まで使えなくなる可能性がある、と考えた方がいいと思います。
なぜなら、暴落が生じてしまった場合、10年先まで株価が元の価格に戻らないかもしれないからです。過去の歴史を振り返ると、暴落の後株価が回復するまでに長い時間がかかっていることが根拠です。
そのため、出口戦略を考える上で私が良いと考えるのは、「お金が必要な10年前までに、その時点で暴落していなければ、保有株を売却する」という戦略です。なぜなら「お金が必要だから暴落時に売却してしまう」ことを回避することができるからです。
例えばあなたが学費のために今から20年後にまとまったお金が必要だとします。それなら、今から10年間積立投資して、その時の株価が暴落していなければ、売却してしまった方が安全だと思います。もしその時に暴落していれば、さらに10年間待つことで、暴落から株価が回復するための時間があります。しかし、例えば18年後に暴落してしまった場合、株価が回復するのはその10年後となったら、28年後にならないと株を売却できないかもしれません。「お金が必要だから暴落時に売却してしまう」ことを回避するために、早めの売却を推奨します。
ちなみに、「目標金額を考えて積み立てよう」という言葉を耳にしますが、私はあまりお勧めしません。目標金額を考える上で、単純なシミュレーションでは、役不足だと考えるからです。複利の記事では複利の力について取り上げましたが、人間の心理が影響する株式市場において、こんなに理想的にうまくいくとは思えません。
もちろん以下のサイトのような優れたシミュレーションで、いくらになるか可能性を検討する意味はあると思います。
「投資シミュレーション -資産形成分析-」明治安田アセットマネジメント https://www.roboadsimulation.qri.jp/myam/simulation
しかし、正直なところ、どうなるかなんて誰にもわからないのです。株式投資のリスクは概ね25%程度とされていますが、それも過去のデータから考えたもので、何か予想もつかないような出来事が起きるかもしれません。証券取引の歴史は150年程度と短いものです。これから先どんなことが起きるかなんて、予想はつかないのです。そのようなことまで理解した上で、投資を行うのが良いと思います。
しかし、過去のデータを統計学的に分析することで、このような傾向があるということは考えることができます。また、それぞれの現象の意味を突き詰めることで、どのような影響が出るかは考えることができます。
後者については、アクティブファンドを運営する証券会社の方々が研究されていると思います。今は手数料も含めればインデックスファンドがアクティブファンドより成績が良いと言われていますが、今後研究が進めば、アクティブファンドがインデックスファンドを凌駕する未来もあり得ると思います。
未来に何が起きるかはわかりません。しかし、何が起きそうかは様々なデータから予測することはできます。逆に、予測するのが難しいということを理解するのも大切でしょう。
投資の怖さと、認知バイアスの克服

私は実際に自分で投資をして、投資の怖さを体験しました。根拠もないのに暴落が心配になったり、逆に過剰な自信が出てきたり。このような認知バイアスによる行動が、損を生んでしまうのだと思います。
@認知バイアスとは?
そのため、失敗しない方策としては、初めに決めた方針を貫き続けるというのが一つでしょう。
例えば出口戦略として、私は年率+20%で全て売却しようと考えています。以下のサイトでは、含み益+20%になったら保有株の3割を売却することを提案しています。
「含み益を幻にしない、積み立て投資の出口戦略―楽しく増やす!「北澤式」資産運用術」 https://moneyworld.jp/news/05_00040598_news
このように行動すれば、認知バイアスの影響は受けなくてすみます。
ただし、この方策の欠点としては、その方策に穴があった場合に、失敗してしまうというものがあります。こうすれば必ずうまくいくという理論は存在しません。そのため、下手に方策を信じてその通りに行動し続けて、そして失敗した場合には、認知バイアスによる損よりも大きな損失を被ることになるかもしれません。認知バイアスの存在を知り、その特性を理解すれば、自分が今しようとしていることが認知バイアスによるものかもしれないと考えることで、影響を抑えることができると思います。
経済結論は日々進歩しており、日々経済に関わる論文は産出されています。そのため、現時点でのベストが、10年後には全く違うものに変わっているかもしれません。
結論

結局、その時々にケースバイケースで勉強して、考え続けるしかないと思います。
現時点で私の考える指針は、以下の2つです。
・お金が必要な10年前に売却する
・含み益が年率+20%になったら(バブルと判断したら)、全て売却する
・含み益が合計で+20%以上になったら、3-5割程度売却する
私は「常に勉強し続けること」「自分の頭で考えること」が最も大切だと思います。
どんな分野でも日々進歩があり、今の常識は10年後の非常識と考えた方が良いでしょう。物理や化学などであれば絶対的な法則や理論が存在しますが、経済のような人間の心理も影響する分野においては、絶対的な理論はなかなか存在せず、相対的な理論が多いと私は思います。
その時々でベストな選択肢は変わるため、繰り返しになりますが、「常に勉強し続けること」「自分の頭で考えること」が大切だと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
私の実際の投資体験についても、ぜひお読みくだされば幸いです。
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