第6章 「リスク(不確実性)」「リターン(期待値)」とは何か?

投資の意味を理解する

リスク、リターンとは簡単に言うと?

投資を行う際に「リスク」「リターン」はよく考える必要のある非常に重要な概念です

「リターン」とはイメージ通り、予想される収益のことです。

「リスク」という言葉は一般的には、「危険」や「損失」で表現されることが多いと思いますが、投資におけるリスクとは「不確実性」のことあり、より平たく表現すると「リターンの揺れ幅」ということです。

※統計学においては、このようにばらつきがあることを「分散」という言葉で表現しますが、投資における「分散」という言葉とは定義が異なります。混同しないように注意しましょう。

「リターン」とは何か?

投資における「リターン」とは、確率・統計の世界の「期待値」と同じ意味です。

期待値とは、簡単に言えば「あなたが行なった投資に対して、どれくらいのお金がもらえると予想されるか?」と考えて良いでしょう。もちろん正確な定義からは外れますが、投資について考える際の期待値であれば概ね正確な表現と言えます。

簡単な例として、あなたがサイコロを一回振って、出た目×1000円もらえるとします。

この場合、期待値はいくらでしょうか?「サイコロを1回振ったらいくらもらえる」でしょうか?

それぞれの目が出る確率は1/6で、出た目の1000倍のお金がもらえるので、計算式としては、

1/6×1000+1/6×2000+…+1/6×6000=3500

よって、期待値は3500円です。「1回サイコロを振ると3500円もらえる」と予想できます

投資における期待値は「リターン」と呼ばれます。リターンを表現する指標には「利率」や「利回り」があります。

利率と利回りの違いは?

毎年の利率が3%という株に1万円投資すると、期待値(リターン)は1万円×3%=300円です。

期待値(リターン)を理解していただけたでしょうか。

「リスク」とは何か?

毎年の利率が3%という株に1万円投資しても、必ず300円もらえるわけではありません。企業の成績や評判によって、利率が3%を超えることもあれば下回ることもあるでしょう。

予想される期待値(リターン)にばらつきがあることを「リスク」と言います。期待値(リターン)が3%と予想されても、不況が生じれば-20%になることもあります。

つまり、リターンは不確実な部分があり、この不確実性のことを「リスク」と呼びます。一般的に、リスクとリターンは比例関係にあり、リターンが大きいほどリスクは大きくなります

平たく言い換えると、予想される利益が大きいほど、損する可能性は高まるということです。厳密にはリスクとは不確実性であり、大きく得をする可能性も含まれますが、ここではわかりやすく損についてだけ着目しています。

あなたはどの程度の損失を見ても動揺せずに許容できるでしょうか?投資金額のー20%となっても、我慢して投資を続けることができますか? 投資する対象をよく考慮した方が良いでしょう。

例えば株式投資、債券を比較した場合、債券はローリスクローリターンである(リスクは少なめですが、リターンも少ない)と言われています。対して株式投資はハイリスクハイリターン(予想されるリターンは大きいですが、リスクも大きい)と言われています。

しかし、「分散投資」を行うことで、予想されるリターンはいくらか減少しても、リスクを減らすことができるため、「分散投資」は投資家にとって必須の技術と言えます。分散投資について、インデックスファンドについては別記事で解説します。

分散投資とは?

インデックスファンドとは?

そして、リスク(リターンの揺れ幅)には種類がありますが、これについては別記事で解説します。

リスク、リターンから具体的にどう計算するか?

それでは、あなたが投資する金融商品のリスク・リターンを評価してみましょう。

例えば国内の株式投資を考えます。

GPIFウェブサイト(https://www.gpif.go.jp/gpif/diversification2.html)
GPIFウェブサイト(https://www.gpif.go.jp/gpif/diversification2.html)

上の2つの図は、GPIFウェブサイトより引用させていただきました。

1つ目の図は、1970年から2020年までの株式・債券のリターンを示しています。国内株式のリターンには大きな揺れ幅があることがわかります。平均すると+6%程度ですが、それぞれの年は大きく数字が異なり、このリターンの幅の大きさがリスクだといえます。リスク(標準偏差)は25%程度です。標準偏差は統計学の用語であり、別記事で説明します。

2つ目の図は、過去のデータから株式と債券のリスクとリターンをプロットしたものです。

ここで、あなたが国内株式に投資すると考えます。国内株式の過去のデータから、リターン(期待値=平均的なリターン)が6%で、リスク(標準偏差)が25%であると仮定します

あなたが月に10万円ずつ積み立て投資をした場合、20年後にあなたの資産はいくらになっているでしょうか?

ここで、リスクとリターンを自動的に計算してくれるウェブサイトの力を借りましょう。

「明治安田アセットマネジメント」https://www.roboadsimulation.qri.jp/myam/simulation

こちらのサイトで初期投資額0円、毎月積立額10万円、運用期間20年、リターン=6%、リスク=25%を入れて計算すると、以下のようになります。

合計投資金額は2400万円。

10%の確率で8836万円(+6436万円)

30%の確率で4891万円(+2491万円)

20%の確率で3464万円(+1064万円)

30%の確率で2561万円(+161万円)

10%の確率で1582万円(ー818万円)

となります。元本割れする可能性は27.4%となっています。

よって、4分の1の確率で損をするものの、4分の3の確率でいくらか得をします。平均的には1064万円利益が出るということです。

ただし、この話には注意点があります。

「未来の予想はプロでも難しい(なんなら誰にもできない)」ということです。

なぜなら、株価には将来の期待も反映されている可能性があるためです。もしプレーヤー全員がそのように行動したら、あなたが買う株はすでに将来の期待が反映された価格になっているかもしれません。この話は、効率的市場仮説にも似ています。

株は安く買えるのか?効率的市場仮説、行動経済学も含めて解説

過去のデータを用いるとシミュレーションのようになりますが、投資はそう簡単ではありません。なぜなら、これまで解説したような情報をプロはもちろん、一般人の私でも手に入れることができているからです。そして、そのデータをもとにしてプレーヤーは投資を行うため、株価はプレーヤーの行動の影響を受けます。よって、株価は過去の情報を全て反映したものであるという効率的市場仮説は妥当だと思います

また、日本の人口数や生産年齢人口の割合は減少していることや、情報産業の台頭により利益を得る企業の顔ぶれが大きく変わっていることなど、他にも多数の予想が難しい要素があるでしょう。そして、これら多数の要素を多数のプレーヤーが考慮した上で株の売買が行われているため、一筋縄ではいきません。リスクとリターンが一定であれば計算通りとなりますが、そうはうまくはいかないでしょう。

結論:信じられるのは経済成長

私が信じるのは「経済成長」です

「経済成長」とは何か?

もちろん、経済成長したとしても、それが株価に反映されるという保証はありません。政府が回収するかもしれないし、それが他国の利益となることもあります。

しかし、少なくとも確実に言えることは、私たちは日々経済活動に参加しています。そして、より良い生活を送るために日々努力しており、その努力が「経済成長」という形で表現されます。世界の「経済成長」は年率2%です。もし私たちが株を買うときに、本来の価値の+10%という割高な価格で購入してしまったとしたら、すぐに価格は下がる可能性があります。それでも、年率2%で成長する経済を信じると、5年後には購入価格に戻ることになります。もちろん平均すると2%なだけで、毎年+2%というわけではありません。そのため、長い年月が必要な場合もあるかもしれませんが、経済が成長する限り、株価は購入時の価格を超える日がいつかは来るでしょう

以上、投資におけるリスクとリターンについて解説しました。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

次回は「長期・分散・積立投資」について解説します。

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